「だからなぼくらあ止めとき」

 背の高い女の子が、笑いすぎて涙を指で拭いながら言った。

「でもな、ぼくらあおばあちやんに言われてどうしてもお墓に行かなあかんのや」

 ヒロムは泣き声だ。

「何言われたんや」

 女の子は真顔で訊く。

「このぼた餅お墓にお供えしてきてって」

 ヒロムは箱をさしだした。

 女の子三人はふーんと言って箱の方を見た。

 女の子の一人が近づいて「ちょっと見せてな」と言って紙箱の蓋を取る。

「わぁおいしそうなぼた餅やん」

 女の子は、いきなり人差し指であんこをこそぐとペロリと舐めた。
 あまーい、女の子は笑顔で声を上げた。

「や、やめてや」

 トシヤンが眉をつり上げてぼた餅の箱を取り上げる

「まあこんなにおいしくつくってあるぼた餅やったら持って行かなああかんなあ」

 あんこを舐めた女の子は、未だ舌を舐めながら蓋をトシヤンに渡した。

 そうやなあと言いながら、一番背の高い女の子が目尻を下げて口を開いた。

「あんたらどうしても行かなあかんのやったら、おねえちゃんが幽霊の出ん方法教えたるわ」

「教えて、教えて」

 身を乗り出したトシヤンは未だ股間を押さえている。

「お墓の入り口のところでな、ぼくらは女の子ですおちんちんはついておりません、と大きな声で三回言うんや」

 それを聞いて他の女の子が苦笑する。

 べっ? とトシヤンは真剣な目つきで口元だけ少し緩めた。

 ヒロムとナオボウは真顔で何度も頷く。

 ええか叫ぶぐらい大きい声やで、と背の高い女の子は言うが、顔は今にも吹き出しそうな表情だ。

「ほな日の暮れんうちに行ってきなさい」

 女の子達は笑いすぎて出た涙を拭った。

 ヒロムら三人は顔を見合わせると、また道を進み始めた。

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