三人が家の中に消えるのを見計らって、僕らは門前に近づいた。

 MIYAKEという粋な表札がかかっている。


 広い庭の芝生は手入れがいきとどいており、所々に赤や黄色の花がほころんでいた。

 携帯の着信音が鳴る。


 石川先生がボクの胸ポケットに目を落とした。

 僕が慌ててその場から離れると石川先生も後についた。


 走りながら携帯を取り出すと着信表示が順子ママとなっている。

 順子さんからや、と石川先生に告げて通話ボタンを押した。


「あもしもし、ガバチャさん。今どこにいはんの。三ノ宮におるんやろ」

「ええ、今センター街にいますわ」

 荒れた息を整える。


「そう、あたしの友達の家にけえへん。すごく良いところよ」

 順子さんはいつもの調子だ。


「へー、どこなんですか」

「異人館のうろこの館の近くよ」


「今、石川先生先生も一緒なんですけど」

「ああそう。ならちょうどええやん、石川先生も一緒に来はったら」


「わかりました。じゃあ二十分後ぐらいに着けると思います」

「はいはい、わかりました。近くに来たらまた電話ちょうだい。うろこの館のすぐ近くの白い大きなお家で三宅さんって表札がローマ字でかかってますので」


「はい、わかりました。ほんじゃあ」

 事前の打ち合わせどおりだった。


 僕と石川先生は到着時間を合わせるため、少しぶらついた。


 うろこの館に近づいてからは、順子さんに電話を入れるまでのことはない。

 それらしき家がすぐに見つかったでいい。


 僕らは時間調整をして白い家の玄関前に立った。


 呼び鈴を押す。順子さんの大きな返事があった。

 満面の笑顔で出てきた順子さんは、僕らに近寄ると小声で言った。

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