「あそこに懐かしいものがあるでしょう」

 とピアノマンが肩を揺する。


「あら珍しいステレオ。あれ鳴んの?」

 順子さんが目を丸くして尋ねる。


「ええ、ノイズがすごいですけど鳴ることは鳴ります。これも雅也がレコードを全てパソコンにうつしてノイズをとってくれまして、綺麗な音で懐かしい曲を聴いてますわ」

「へー、なんでもパソコンで出来るようになってほんまに便利な世の中ですね。私ら時代遅れの人間は驚かされるばかりですわ」

 と石川先生は頭をかいた。


「ほんまにそうですわ。ビデオかて、昔撮ったテープ式のものを雅也が全てCDとか言うものにしてくれて、パソコンでさっと映りますしね」

 そこまで言ってピアノマンは「雅也、雅也」とかすれ声を上げた。

 雅也君が一階から音もなく現れる。

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