「お母さんの歌のCD聴きたいんやけどな」
雅也君は相づちだけ打って三階に消えていった。
「うわあ、見せてもらえんのぉ」
順子さんが嬉しそうに両手を合わせる。
カチャカチャと音を立てながら雅也君がゆっくりと階段を降りてきた。
手にはノートパソコンとかコード、マウス、CDのケースを抱えている。
僕は駆け寄り、持ちにくそうにしている雅也君の手からノートパソコンとコードを取り上げ加勢した。
ピアノマンがお目当てのCDをめくって探す。
首を傾げながら、一枚のCDを透かすように裏表見返すと僕にそれを手渡した。
セットされたパソコンにCDを挿入する。
順子さんと石川先生が僕をはさんで画面に向かった。
雅也君は少し離れて立っている。
「ここでいいんかな」
雅也君に訊きながら僕は操作を進めた。
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