有田川ダム上で

この日、みょうに体がしんどかったので柴崎おとり店の近くで釣ることにした。

赤い吊り橋ハマデ橋の前後。

キャプチャ066100

この一等地に釣り人が誰もいない。

ハマデ橋はここ数年でも何度しか竿の出せない人気ポイントである


それが閑散としているのが今年の鮎釣りが芳しくないことを示している。

私の鮎釣り仲間もめっきり釣りに行ってない。


どこに行っても釣れないからだ。

「今年は鮎をやめてイカ釣りにでも行くわ」

と鮎釣り歴40年のベテランが悲しそうに笑う。


鮎釣りを取り巻く状況は年々悪くなっているような気がする。

天然遡上は循環的なものなのでまた多い年もあるだろう。


だが、それに頼るダム下は異常気象ともいえる集中豪雨によって

ダムに泥等が流れ込み何年も濁った水が改善されない。

有田川や日高川が顕著な例だ。


ダム上も10数年前から放流する鮎の性格が変わって

石につかない巨大な群れ鮎が目立つようになった。

また、解禁後の冷水病に毎年どの川も苦しめられている。


そんなことをうだうだ考えながら

さて今日のこの場所の糸は何にしようかと選択肢を並べてみる。


ベストに収まっている仕掛けは、ナイロンの01と0125、フロロの01と0125、メタルの005だ。


今日は水が高い。

一抱えもある底石がゴロゴロしている。


すぐ上は早瀬。鮎は大きくても18センチだろう。

と思って、耐摩耗性のあるフロロの0.1を取り出す。


比較的緩いところから泳がせたが反応がない。

徐々に竿を寝かせ早瀬の方にもっていった。


流心におとりが入ったと思った瞬間、ギューンと目印がひったくられた。

もう一度同じようにやるとまたギューンだ。


今日は瀬で掛かる日のようだ。


10匹ほど掛けた時にメタルの005に変えた。

初めて使うダイワの新ハイパーエムステージ。


驚いたのは糸の表面がツルツルで目印の移動がスムーズにいく

こんな糸の感触は初めてだ。


比重も14.9なのでフロロ以上に爆沈してくれる。

その実感が掛かりの違いに表れてかズコバコ入れ掛かりになった。

キャプチャ0610

そこに一人釣り人が表れて近寄ってきた。


「釣れていますね」

「ええまあ」

と少し話をすると吉野鮎研究会の方だった。


若いころは岐阜とか広島とかあちこち行ったけど

歳をとったら動くのが面倒になって・・。

近くできれいな川でそこそこ釣りたいと思ったら

有田川のダム上か高見川ぐらいのもんですわ。


そんなことを言いながら

その釣り人はさらに下手の瀬に向かっていった。


確かに、私も若い頃はあちこちの川に行きまくって鮎を釣った川は50河川を超えている。

それが最近はめっきりその行動に衰えが見られ

ほとんど近くの同じ川でしか竿を伸ばさなくなった。


今年は故郷の安田川も釣れないことだし

ここいらでちょっとアドベンチャーしてみるかな。


と心地よく広がった青空に目をやりながら

ソロリとオトリ鮎を瀬に送り込んだ。